観光マップを作るとき、つい「どこを載せるか」から考えていないでしょうか。
名所を整理して、写真を入れて、地図として見やすく整える。もちろん、それ自体は大切です。
ただ、そこで止まってしまうと、配ったのに使われない観光マップになりやすくなります。
実際、観光の現場では、「ちゃんと作ったのに反応が見えない」「情報は載っているのに回遊につながらない」という声が少なくありません。
このとき見直したいのは、デザインの完成度だけではありません。
作る側の論理と、見る側の行動がずれていないか。
観光マップは、情報を並べる媒体ではなく、現地での行動を後押しする媒体です。
この前提に立つと、作り方そのものが変わってきます。
【この記事のポイント】
✅ 観光マップは「載せる情報」より「使う場面」で差がつく
✅ 作る側は全体を見ているが、見る側はその場で判断している
✅ 情報過多は親切ではなく、行動を止める原因になる
✅ 観光パンフレットやWeb、SNSとの連携まで含めて設計することが重要
【こんな方におすすめ】
✅ 観光マップを作っているが、使われ方に手応えがない
✅ 自治体や観光協会向けに、回遊につながる制作物を考えたい
✅ 観光プロモーション全体の中で、紙媒体の役割を整理したい
1|観光マップは本当に使われているのかを考える
作る側は「全部伝えたい」と思いやすい
観光マップを作る側は、どうしても地域の魅力をできるだけ載せたくなります。
せっかくなら、あの店も、この景色も、新しい施設も入れたい。
その気持ちはよくわかります。
ただ、見る側は違います。
現地で地図を開く人は、「この地域には魅力がたくさんある」ことを確認したいのではなく、「今の自分はどこへ行けばいいか」を知りたいのです。
ここでズレが生まれます。
見る側は「一覧性」より先に「判断材料」を探している
観光マップは一覧性が強みです。
ただし、一覧できることと、判断しやすいことは同じではありません。
選択肢が多すぎると、人は判断が難しくなります。
つまり、情報量が多いことは、必ずしも親切ではありません。
使われる観光マップは「次の一歩」が見える
本当に使われる観光マップには、共通点があります。
それは、見た人が次に何をすればいいかを想像できることです。
例えば、駅から歩いて回れるのか。
雨の日でも動きやすいのか。
昼食を挟むならどこが自然か。
この「次の一歩」が見える地図は、手に取ったあと行動につながりやすくなります。
ただ、この「次の一歩」は、デザインの段階から考えても間に合わないことがあります。
情報を何にするか、どの順番で判断させるか。
そこは設計の話であり、制作に入る前に整理しておきたいことです。
2|作る側と見る側で、何がずれているのか
作る側は「正しさ」を重視する
発注側も制作側も、観光マップではまず正確さを大事にします。
位置情報に間違いがないか。
掲載漏れはないか。
表現に偏りはないか。
これは当然必要です。
ただ、正しさを整えることと、使いやすさを整えることは別の話です。
正しいのに使いにくい。
この状態は意外と多く起こります。
見る側は「自分に関係あるか」で読む
地図を見る人は、地域全体を公平に理解したいわけではありません。
自分に合う場所か。
今の気分に合うか。
今日の流れに乗るか。
こうした視点で読んでいます。
そのため、すべてのスポットを均等に見せる設計は、かえって印象をぼかしてしまいます。
「誰にどう使ってほしいか」が曖昧な地図ほど、結果として誰にも刺さりにくくなります。
発注者が見落としやすいのは「現地の時間感覚」
作るときは机の上で考えます。
でも、使うのは現地です。
現地では、歩く。
迷う。
疲れる。
予定が変わる。
こうした時間感覚が入ります。
観光マップが使われないとき、地図の内容そのものより、その時間感覚に寄り添えていないことが原因になっている場合があります。
こうした気づきは、制作が始まってから出てくることが多いです。
だからこそ、「何を作るか」より先に「どう使われるか」を一緒に考える相談の場が、結果として地図の質に影響します。
3|成果につながる観光マップの作り方とは
「場所」ではなく「動き方」を設計する
観光マップの作り方で大きいのは、場所の紹介から入るか、動き方の設計から入るかです。
前者は情報整理には向いています。
後者は回遊促進に向いています。
成果を考えるなら、後者の視点が欠かせません。
駅から始まるのか。
車を置いた駐車場から始まるのか。
半日なのか、一日なのか。
このように、動線を先に描くと、載せるべき情報の優先順位が変わります。
「全部載せる」より「迷わない」を優先する
発注時には、あれも載せたい、これも載せたいとなりやすいものです。
ただ、そこで一度立ち止まりたいところです。
見る側にとって大切なのは、網羅性より迷わなさです。
「自分がどこにいて、次にどこへ行けるか」が明確であることが重要なのです。
観光マップも同じです。
全部あることより、次がわかること。
そこに価値があります。
モデルコースは「提案」ではなく「安心材料」
モデルコースを入れると、自由度が下がるのではと心配されることがあります。
ですが実際には、モデルコースは制限ではなく安心材料です。
特に初めて訪れる地域では、選択の基準がないこと自体が不安になります。
だからこそ、朝から昼まで。
親子向け。
歩いて回る。
車で回る。
こうした切り口があると、見た人は自分ごととして読みやすくなります。
モデルコースの切り口をどう設定するかは、地域の回遊目標と直結しています。
「何泊してほしいか」「どのエリアに誘導したいか」という目的から逆算して決めるもので、これは制作の前段で整理しておくべき問いです。
4|観光マップは単体で考えないほうがいい
紙だけで完結させようとすると無理が出る
観光マップに期待をかけすぎると、情報を詰め込みたくなります。
けれど、紙には紙の役割があります。
全体像をつかむ。
回遊のきっかけを作る。
現地で判断しやすくする。
ここに強みがあります。
一方で、営業時間の最新情報や予約導線、細かな特集情報まで一枚で抱え込むと、紙の良さが薄れます。
WebやSNSと分けることで、むしろ紙が強くなる
観光プロモーションでは、媒体を分けて考えるのではなく、役割で分けるほうが機能します。
観光マップで全体像を示す。
観光パンフレットで魅力を深める。
Webで詳細を補う。
SNSで継続的に接点をつくる。
この流れがあると、紙は入口としてかなり強く働きます。
今の観光マップは、その入口として設計されているでしょうか。
自治体案件では「制作物」より「全体設計」が見られている
自治体との協業を増やしたい場合、観光マップ単体の見た目だけでは弱いことがあります。
なぜこの地図なのか。
どの回遊を狙うのか。
他媒体とどう連動するのか。
こうした全体設計は、制作に入る前の段階で言語化しておく必要があります。
紙・Web・動画・SNSをまとめて考えられる体制があると、媒体をまたいだ設計の整合性が取りやすくなります。
制作会社に相談するタイミングが「デザインを発注するとき」になっている場合、その前の設計部分が抜け落ちていることがあります。
5|発注者が観光マップ制作で先に整理したいこと
ここで挙げることは、制作会社に相談する前に一人で考えておくべきことではありません。
むしろ、一緒に整理しながら決めていくことで、方向性がぶれにくくなります。
「誰に配るか」より「どの場面で開かれるか」を決める
発注時には、配布先や部数から考えがちです。
もちろんそれも重要ですが、先に決めたいのはどの場面で開かれるかです。
案内所で手に取るのか。
宿で夜に見るのか。
現地で歩きながら見るのか。
この場面が違えば、必要な情報も、見せ方も変わります。
「地域の魅力」ではなく「回遊のきっかけ」を言語化する
地域には魅力がたくさんあります。
でも、魅力があることと、動き出したくなることは別です。
発注前に整理したいのは、この地図で何を促したいかです。
長く滞在してほしいのか。
周辺エリアまで足を延ばしてほしいのか。
混雑を分散したいのか。
ここが明確だと、観光マップの構成がぶれにくくなります。
「デザイン発注」ではなく「設計相談」から入る
観光マップの相談をするとき、最初にレイアウトやサイズの話から入っていないでしょうか。
まずは、誰に、どこで、どんな行動を促すのか。
そこを整理する。
そのあとで、紙のサイズ、情報量、導線、他媒体連携を決める。
この順番のほうが、結果として使われる地図になりやすいです。
そして、この「順番」から一緒に考えることが、私たちが大切にしている相談のスタンスです。
【ART&旭 株式会社旭高速印刷】について
ART&旭 株式会社旭高速印刷は、観光主力の広告制作業として、福岡市、大阪市、東京都千代田区に拠点を構えています。
この記事で書いたような「媒体ごとの役割設計」を、弊社では制作の前段から一緒に整理しています。
編集者・ライター・Web制作が社内に在籍しているため、言葉の設計から媒体をまたいだ制作まで、分断なく対応できる体制が特徴です。
✅ パンフレット制作
✅ Web制作
✅ 動画制作
✅ Web広告
✅ SNS運用代行
企業の広報やプロモーションにおいて、情報発信の設計を整えることは重要な基盤になります。
まずは課題整理から相談する企業も多く、無理な提案を行わない体制を大切にしています。
FAQ
Q1. 観光マップだけの相談でも大丈夫でしょうか。
はい。パンフレットやWeb全体ではなく、観光マップ単体の方向性整理からでも相談できます。
Q2. 自治体案件の相談は早い段階でも可能ですか。
もちろんです。企画が固まる前の段階で相談するほうが、全体設計を整理しやすくなります。
Q3. 紙とWebを一緒に考えたいのですが、対応できますか。
対応可能です。紙だけでなく、Web、動画、SNSまでつながる形で考えたい場合にも相談できます。
Q4. 観光パンフレットや観光マップの情報整理からお願いできますか。
はい。何を載せるか、どう見せるかという整理の段階から伴走できます。
Q5. 制作だけでなく、提案書やプロポーザルの相談もできますか。
可能です。自治体提案に向けた企画や見せ方の相談も受け付けています。
まとめ
観光マップは、作れば使われるものではありません。
正確で、情報が揃っていて、見た目が整っていても、見る側の行動につながらなければ成果は出にくいままです。
だからこそ大切なのは、作る側の都合ではなく、見る側がどの場面で、何を判断するのかを起点に設計することです。
そしてその設計は、制作が始まる前から考え始めることで、はじめて機能します。
観光パンフレットやWeb、SNS、動画まで含めて観光プロモーション全体の中で役割を整理できると、観光マップは配布物ではなく、回遊を生む装置として機能しやすくなります。

