「動画は作ったけど、SNSで伸びない」── 静止画・カルーセル・Reelsで結果が変わる理由
~観光協会・自治体・地域のご担当者、そしてSNSの成果を問われる決裁者の方へ~
「毎日投稿しているのに、増えない」その静止画、“身内”にしか届いていません
SNS運用のご相談で、いちばん多いお悩みがこれです。
「担当がコツコツ毎日投稿しているのに、フォロワーも“いいね”も増えない」
写真を選び、コメントを添えて、真面目に毎日更新している。
努力はまったく正しい。にもかかわらず数字が動かないとき、原因は「がんばりが足りない」ことではありません。
そのがんばりが、“新しい人に届かない形式”に向いていることがほとんどです。
実際、Socialinsiderの2026年のベンチマークでは、単発の静止画投稿はエンゲージメント率が最も低く、前年から約17%も低下しています。
理由はシンプルで、静止画は主に「すでにフォローしている人」にしか表示されにくいから。
毎日投稿しても、届く相手が広がらない——これが「伸びない」の正体のひとつです。
本稿では、なぜ形式で結果が変わるのか、静止画・カルーセル・Reelsの役割の違いを整理し、そのうえで「誰に届けるのか」の設計、
さらにオーガニックの限界を超える広告の使い方(当社は制作だけでなく広告運用も社内で行っています)までをお伝えします。
なぜ「リールじゃないと伸びない」と言われるのか
結論から言うと、この言葉は半分は正しく、半分は言い過ぎです。まず「正しい半分」から。
Instagramのアルゴリズムは、フォロワー以外の人が集まる“発見面”(発見タブ・リールタブ)に、動画(Reels)を優先的に届ける設計になっています。
だから新規リーチ(まだあなたを知らない人へのリーチ)は、動画が圧倒的に強い。
各種の大規模分析では、Reelsのリーチは静止画の約2.25倍、カルーセルの約1.36倍という傾向が繰り返し報告されています。
さらにMetaの公表データでは、利用者がInstagramに費やす時間の半分以上がReelsとされています。
Instagram責任者のAdam Mosseri氏も、Reelsで重視されるのは「視聴時間・リーチあたりのいいね・DMでのシェア」の3つだと明言しています。
つまり——「まだ知らない人に見つけてもらう入口」が、いまは動画(Reels)になっている。
だから静止画だけを続けても、新しい人に広がらない。ここまでが「正しい半分」です。
では「言い過ぎな半分」とは何か。次章です。
でも「Reelsだけ」も正解ではない ── 3つの形式は“役割”が違う
「じゃあ全部Reelsにすれば?」——ここが落とし穴です。
データを丁寧に見ると、リーチはReelsが強い一方、“深い反応”はカルーセルが強いのです。
・カルーセル(複数枚をスワイプ)は、Socialinsiderの計測で最もエンゲージメント率が高い形式。
しかも保存率はReelsの約3倍とされ、1枚目で止められなくても2枚目・3枚目が後から再表示される“二度目の機会”があり、投稿の寿命も長い。
・Reelsは新規リーチ・発見の主役。ただし保存されにくく、「24〜48時間で伸びるか、伸びないか」の瞬発型。
・静止画は、単発の告知や世界観の一枚には向くが、リーチ・エンゲージとも最下位で、その効果は年々下がっています。
観光の文脈に翻訳すると、こう整理できます。
大切なのは「どれか1つ」ではなく、役割で使い分けること。
Reelsで見つけてもらい、カルーセルで保存させて回遊につなげ、静止画で日々を積む。
前回の「尺」の記事と同じで、目的から逆算して形式を選ぶ——これが原則です。
伸ばす前に、「誰に届けるのか」を整理する
もう一つ、“伸びない”投稿に共通するのが「誰に向けた投稿か」が定まっていないことです。
ここで重要な前提があります。
オーガニック投稿(広告以外の通常投稿)は、広告と違って“狙った人に配信”できません。
できるのは、「その人が反応する内容」を設計して、アルゴリズムに拾ってもらうこと。
つまりペルソナ(誰に)を先に決めて、その人が思わず見る冒頭・音・被写体を作る、という順番になります。
観光であれば、たとえば——
・近隣都市の20〜30代:週末に行ける近さ、映える一場面、テンポの速いReels
・ファミリー層:子どもが楽しめる要素、安全・アクセス、実際の過ごし方
・シニア層:情報がしっかり伝わる落ち着いた構成、文字は大きく読みやすく
・インバウンド:多言語字幕、日本ならではの画、季節の行事
同じ祭りの映像でも、誰に向けるかで冒頭の3秒も、選ぶ音も、字幕も変わります。 「とりあえず全員に」は、結果的に「誰にも刺さらない」になりがちです。
なお、投稿頻度も見逃せません。約7億投稿を分析した2025年のレポートでは、アカウント成長を最も左右するのは投稿頻度で、週1回以下の投稿だと年平均で約2%フォロワーが減る、という結果が出ています。
「地道さ」は正しい。ただし、その地道さを“正しい形式”と“明確なターゲット”に向けることで、はじめて数字になります。
オーガニックの限界を超える ── 広告で「狙った人へ、確実に」
ここまでがオーガニックの話です。ただ、オーガニックには構造的な限界があります。
最終的に「誰に届くか」はアルゴリズム任せという点です。
「この地域の、この層に、この時期、確実に届けたい」——そう考えたときに効いてくるのが広告(Meta広告:Instagram/Facebook)です。広告なら、オーガニックではできない“狙い撃ち”ができます。
観光・自治体の広告で押さえたい勘どころ
・位置情報ターゲティング:近隣エリアの居住者や、そのエリアへの来訪見込み層に絞って配信
・興味関心ターゲティング:旅行・アウトドア・特定の趣味などで、来訪しそうな人へ
・リターゲティング:動画を最後まで見た人、サイトを訪れた人へ“追いかけ”配信
・時期の設計:祭りやシーズンの前に集中投下し、来訪の意思決定に間に合わせる
・目的の選び方:まず知ってもらう「認知(リーチ)」、反応を集める「エンゲージメント」、動画を見せる「動画再生」、サイト誘導や資料請求などの成果を狙う「コンバージョン」——ゴールで選ぶ
そしてもう一つ。2025年第4四半期時点で、Instagram広告の約53%がReels面で配信されています。
つまり、オーガニックで作ったReelsを、そのまま広告素材に転用できるということ。制作と運用が地続きなら、無駄がありません。
さらに自治体・観光協会には、「予算に対する説明責任」という宿題があります。
オーガニックの“バズった/バズらない”は運任せに見えますが、広告なら配信数・視聴数・サイト誘導数を数値で報告できる。
これは決裁と次年度予算の獲得において、大きな武器になります。
当社は、制作から広告運用まで社内で一気通貫
多くの場合、「動画は制作会社、広告は運用代理店」と分かれてしまい、その“すき間”で素材と意図がロスします。
当社は、Reelsやカルーセルの制作から、Meta広告の運用、数値を見た改善(PDCA)まで社内で完結しています。
だからこそ——
・作った素材(Reels/カルーセル)を、そのまま広告に無駄なく転用できる
・「どの層に、どの形式が効いたか」の結果を、次の制作にすぐ反映できる
・制作意図と運用が分断されないので、地域の魅力を“届く形”で最後まで運べる
まとめ ── “伸びない”の正体は「形式のミスマッチ」と「ターゲットの不在」
SNSで伸びない理由は、努力不足ではありません。多くは、次の2つです。
・形式のミスマッチ:静止画だけでは既存フォロワー止まり。新規はReels、保存・資産化はカルーセル、と役割で使い分ける
・ターゲットの不在:「誰に届けるのか」を決め、その人が反応する形に設計する
そして、届く相手を“確実に”広げたいなら、広告。
オーガニックで見つけてもらい、広告で狙った人へ届け、数値で示す。
この流れを、制作から運用まで途切れさせないことが成果への近道です。
「うちの街は、誰に・どの形式・どんな広告が合うのか」——まずはその整理から、ご一緒させてください。
※本稿中のデータは、Socialinsiderの2026年ベンチマーク、Metricool/HypeAuditorによる約7億投稿の分析、Metaの公表データおよびAdam Mosseri氏の発言、
各種業界レポート(Emarketer等)など、公開されている調査・ベンチマークに基づく傾向値です。数値はプラットフォームの仕様変更や測定条件により変動し、個別アカウントの結果を保証するものではありません。

