~自治体・官公庁案件を狙う地域の事業者、そして共同で応札するパートナー企業の方へ~
公告を見て応札しても、多くは“徒労”に終わる
「入札情報に良い案件が出た。急いで応札しよう」——
この動きだけでは、多くの場合、勝てません。
理由はシンプルで、プロポーザルの勝負は、公告が出るよりずっと前、前年から始まっているからです。
プロポーザル(公募型企画競争=価格だけでなく企画の中身で選ぶ方式)は、価格一発の入札とは違います。
だからこそ、事前の“仕込み”がものを言います。本稿では、当社が数多くの自治体案件で培った勘所を、7つに整理してお伝えします。
① 自治体は「予算事業」── だから前年から仕掛ける
まず押さえるべきは、自治体は予算で動くという原則です。
自治体や年度によって前後しますが、典型的にはこう進みます。
前年の8月ごろに企画・事業案を検討し、9〜10月に各部署が予算要求。12〜1月の財政課査定・首長査定で予算案が固まり、翌2〜3月の議会(いわゆる3月議会)で議決され、正式に決定します。
新規提案の勝負どころは、議決の3月ではなく、前年秋の査定まで。
だからこそ、前年から仕掛けておく必要があるのです。
公告を見てから動いたのでは、この仕込みに間に合いません。
せっかくの企画も、公募(プロポーザル)にかけられた時点で他社に持っていかれてしまう——
という残念なことも起こります。
それでも、実績のない事業者にも門戸が開かれる公募型は、指名入札よりはまだ勝負がしやすいとも言えます。
ただし過去の類似実績を求められてることも多いので指名入札で最初に実績をつけておかないと、類似実績評価点が満点つきませんのでご注意ください。
② 予算はこう決まる ──「下見積もり」を制する
自治体には、企画案と下見積もりがあります。
下見積もりとは、「この事業をやりたいが、いくらかかるか」を把握するために、役所が数社から見積もりを取り、その平均値などをもとに予算を立てるプロセスです。
ここで積まれた予算が、そのまま事業の規模を決めます。
だからこそ当社は、下見積もりには積極的に協力します。
ポイントは、事業に本当に必要な予算が、きちんと確保されるように、過不足のない見積もりを出しておくこと。
ここで予算が足りなく組まれてしまうと、後工程すべてが窮屈になります。
予算の土台づくりから関わる——これが最初の分かれ道です。
③ プロポーザルは“応札”より、前年からの“提案”で決まる
ここまでで見えてくるのは、プロポーザル(公募型企画競争)は、公告が出るより前、前年から実質的な競争が始まっているという点です。
公告を見てから“ぽっと”応札しても、発注者の課題を十分に理解できておらず、勝ちきれないことが少なくありません。
ここでいう「営業」とは、コネや根回しのことではありません。
前年からの情報収集と提案を通じて発注者の課題を深く理解し、“その事業を最もよく分かっている事業者”になっておくこと。
だから、公告の時点でスタートラインが違うのです。
当社は、自ら応札の矢面に立つことは多くありません。
営業・提案を担う会社様と「コンソーシアム」(共同企業体=複数社の共同事業体)を組み、営業に強い会社と、制作・デザインに強い当社が役割を分担して臨みます。
④ 旅行会社が「旅行だけ」で応札するのは、もったいない
ここで、パートナー選びのヒントをひとつ。
旅行会社は、どうしても“旅行が含まれた案件”にばかり応札したがる傾向があります。
しかし、これは非常にもったいない。なぜなら、大手旅行会社の実態は、もはや「旅行だけの会社」ではないからです。
た とえばJTBは「交流創造事業」を事業ドメインに掲げ、旅行に加えて地域向け・法人向けのソリューションを展開しています。
実際、100人以上の社員が地域の観光協会や行政、中央省庁などに出向していると報じられています。
KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリストの親会社)に至っては、ある時期、売上の約4割をコロナ関連を含む「非旅行事業」が占めたと日本経済新聞が報じました。
いちばん身近な例が、コロナ禍のワクチン接種会場や各種事務局の運営です。
旅行大手はこうした運営(オペレーション)の受託で実務力を蓄え、その力をイベント運営などの案件にも展開しています。
そして重要なのは、彼らも単独ではやっていないという点。
イベント会社と組んだり、デザイン・広告の担い手と組んだりと、複数社のコンソーシアムで運営しているのです。
当社は、まさにその“デザイン・広告”の一角を担える存在です。
⑤ 金額の次は「評価点」── 配点の有無で戦い方が変わる
金額は、プロポーザルに持ち込めれば安心です。価格一発で叩き合う入札を避け、企画の土俵で勝負できるからです。
その次に大事なのが評価点。ここは、配点が公表されているかどうかで、戦い方が正反対になります。
公表されている配点は、いわば“答えの配点表”です。
そこに書かれた項目すべてに、確実に点が取れるよう応えるのが鉄則。
ただし、評価項目に「独自提案」「その他の提案」といった枠がある場合は、追加企画もそのまま加点対象になります。
逆にその枠がなく配点が仕様書項目で埋まっているなら、追加企画は心象点どまり。
非公表の場合は、審査員の心をつかむ追加企画が主戦場になり、近年はとくにSNSの運用面が高評価につながる印象があります。
⑥ 企画書は「構成」で差がつく ── 採点者目線の勘所
企画書の中身と同じくらい、構成が勝敗を分けます。審査員は、限られた時間で何社もの提案を読みます。
「探させない」「迷わせない」が鉄則です。
・言いたいことを、最初に言う。 冒頭にレジュメ(要旨)やサマリーを置き、「何を、なぜ、どう実現するか」を先に示す
・評価項目・仕様書の順に章立てする。 採点者が「この提案はどの項目に答えているのか」を探さずに済む。見出しに評価項目を対応させると、なお親切
・発注者の課題理解 → 解決アプローチ → 体制 → スケジュール → 実績 → 見積、という型で流れをつくる
・図解・体制図・スケジュール表で、一覧性を上げる
構成の選び方は、⑤の評価点の有無と連動させると迷いません。
・配点が公表されているなら → 仕様書・評価項目の順に、漏れなく積み上げる(採点しやすさを最優先)
・非公表なら → 結論先出しで要旨を強く打ち出し、独自の追加企画で印象づける
⑦ デザイン評点は「あるなら、捨てられない」
最後に、見落とされがちですが決定的なのがデザイン評点です。
たとえば、評価項目に「デザイン」で20点が割かれていたとします。
ここにデザインがなければ、その20点はまるごと0点。企画がどれだけ良くても、取り返せません。
いまはAIで“それっぽい”デザインを作ることもできます。
ただ——評価される企画書のデザインは、やはり人の手で仕上げたものに勝てない、というのが当社の実感です。
たたき台づくりにAIは有効でも、審査員の心を動かす一枚は、人の設計から生まれます。案をたくさん載せる必要はありません。要所を締める一枚があるかどうか、です。
だからこそ当社は、「勝ち抜いた際に、他社へ発注しない」ことをお約束いただいたうえで、企画書のデザインを無償でお手伝いしています。
デザイン評点という、落とせない配点を確実に取りにいくためです。
まとめ ── プロポは「前年」から。応札の前に勝負は始ま っている
・自治体は予算事業。勝負は前年から。公告を見てからでは遅い
・予算は下見積もりで決まる。必要な予算が確保されるよう、土台から関わる
・勝負は前年からの提案(コネや根回しではない)。営業・提案に強い会社とコンソーシアムを組む
・旅行会社は「旅行だけ」ではない。運営・ソリューションの一員として、当社はデザイン・広告を担う
・評価点の有無で戦い方が変わる。公表あり=網羅、非公表=追加企画(近年はSNS運用が高評価)
・企画書は構成で差がつく。結論先出し、評価項目順、採点者に探させない
・デザイン評点は落とせない。 当社は勝利後の受注を前提に、企画書デザインを無償協力
「うちの案件は、どこで勝負すべきか」——まずは、狙う自治体の予算スケジュールと評価点の整理から、ご一緒に始めましょう。
※本稿中の予算スケジュール(企画検討8月ごろ/予算要求9〜10月/査定12〜1月/議決2〜3月)は一般的な一例で、自治体・年度により異なります。
当初予算の議決は通常3月議会です。旅行大手の事業構成に関する記述は、日本経済新聞の報道およびJTB・関連機関の公表情報に基づく傾向で、数値は特定時期のものです。評価配点や運用は案件ごとに異なります。

